不定期と映画レビュー第4回。
大体スタイルが定まってきた感じ。

今回はこれ。

『劇場版STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』

監督：若林完二
脚本：花田十輝
シナリオ監修：松原達也、林直孝
制作：WHITE-FOX

04/20全国ロードショー


公式
http://steinsgate-movie.jp/



PV



評価
★★★★☆（4.0/5.0）


「ロボノがコケたからってシュタゲで稼ごうと必死過ぎだろ・・・」
　と思っていた。
　ただでさえ、『シュタインズ・ゲート』というコンテンツは使い尽くされている。
　Xbox360で発売し、PCで発売し、PSPで発売し、iOSで発売し、PS3で発売し、PSVITAで発売し、小説化し、Xbox360でファンディスクを出し、PSPに移植し、PS3に移植し、PSVITAに移植し、小説化し、漫画でスピンオフし、漫画でスピンオフし、PCでレトロADV風にスピンオフし、ドラマCDでスピンオフし、小説でスピンオフし、グッズを出し、グッズを出し、グッズを出した。
　薄め続けたカルピス、出涸らしのティーパック。
　初めは熱狂的ファンだった僕も途中で全て網羅するのを諦めた。
　だから映画を観るまで、蛇足映画になるのではないかと心配していた。
　名作映画の続編である『バタフライ・エフェクト2』だって駄作だった。（シュタゲがパクリだといいたいわけではない。タイムリープ＋ループ物としてはどちらも大好きだ。とかく、名作の続編は駄作になるものなのだ。）
　あれだけ綺麗に完結した『シュタインズゲート』の続編が駄作にならないと誰が断言出来る？

　正直言って、杞憂だった。


●あらすじ

　2011年・夏。秋葉原。世界線変動率1.048596。牧瀬紅莉栖も椎名まゆりも死なない、岡部倫太郎が「運命石の扉《シュタインズ・ゲート》」に到達した世界。岡部が鳳凰院凶真として振る舞い、“スーパーハカー”橋田至やまゆりがいて、時折フェイリスや桐生萌郁が訪れる。いつも通りの未来ガジェット研究所がある世界。
　そこにアメリカから紅莉栖が帰ってくる。
　紅莉栖の歓迎として一同はバーベキューパーティーを開催するが、ちょうどその日から岡部は一年前、違う世界線での出来事のフラッシュバックに悩まされるようになる。それは病的なほどになっていき、とうとう、岡部は敵であったCERNと誤ってブラウン店長に包丁を突きつけてしまうほどに陥る。
　そんな岡部を心配する紅莉栖の目の前で、突如岡部は姿を消してしまうのだが……。


●“外伝”というよりは“続編”

　原作の展開やキャラ設定をほぼきちんと踏襲した上で鈴羽や綯などの登場人物までをしっかり登場させ、原作プレイヤーをニヤッとさせ（岡部のフラッシュバックにトラウマである“無限サイクリング”などの原作の個別エンドの場面が存在するなど）、80分ほどの尺に収めた脚本だが、全体としては綺麗にまとまっている。もしかすると「綺麗にまとまり過ぎている」とまで思うかもしれない。（これは本編の長さに対して80分という尺が短いせいもあると思う。）
　色々な人物を視点に据えてスピンオフを量産し、今月には各キャラをメインに据えた外伝『線形拘束のフェノグラム』が発売される本シリーズだが、今回の映画は（間違いなく）正ヒロインである紅莉栖が、突如消えた岡部を追うストーリーだ。
　タイムリープを繰り返し、岡部が存在し続けるための道を探す紅莉栖の物語は、外伝ではなく、まさに『シュタインズ・ゲート』の続編といえるものだった。

　ちなみに、主人公が紅莉栖ということから察することが出来るかと思うが、ヒロインの掘り下げは専ら紅莉栖である。


●作中のロジックに若干の「？」

　これについては作中のネタバレに深くかかわるので詳細に言及はしないが、個人的には作中の問題と問題解決方法に若干の疑問を抱かざるを得なかった。といっても、ストーリーの流れと雰囲気で最後まで行ってしまえるほどのものなのだが。
　もっとも、本編ですら無数の考察があり、外伝や設定資料集にて補完された設定がある本作にそんなことを言うのは「野暮」なのかもしれない。


●まとめ

　『シュタインズ・ゲート』を楽しめたなら満足がいく映画だ。
　この映画は『シュタインズ・ゲート』本編を観ている人に向けてのものだし、熱心なファンならおそらく公開初日にステッカーをもらいにいったことかと思うから、おおよそこのレビューは「蛇足映画になるのではないか」と心配している程度のファンに向けてのものになると思う。
　そんなファンにはこう言える。
　心配はいらない。観に行くべきだ。